ポンプの排水用配管を製作|持ち込み部品をTIG溶接した事例

既製品で必要な形状の配管が見つからない場合でも、手元にある部品の材質、寸法、状態、使用条件を確認し、接合できる条件であれば一点物として製作できることがあります。
今回は、お客様が自社で使用するポンプの排水用配管について、「持ち込んだ部品同士を溶接してほしい」とご相談くださいました。弊社で担当したのは、支給された鉄部品の接合部を清掃し、TIG溶接で一つの配管に組み立てる作業です。
部品同士の径がわずかに異なり、一方の部品には強い汚れがありました。そこで、接合する箇所の状態を確認し、汚れを取り除いてから仮止めと溶接を進めました。

ご依頼内容と分かっている仕様
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 使用用途 | お客様が自社で使用するポンプの排水用 |
| ご相談内容 | 持ち込んだ部品同士を溶接してほしい |
| 困っていたこと | 既製品で同じようなものが見つからなかった |
| 材質 | 鉄。めっきのある部品と、汚れの強い部品を使用。 |
| 板厚 | 1.6程度 |
| 数量 | 1個 |
| 図面 | なし |
| 溶接方法 | TIG溶接 |
| 完成後の確認 | 中に水を入れた簡易的な漏れ確認。 |
既製品がなく、持ち込み部品の溶接をご依頼
お客様が必要としていたのは、自社のポンプで使用する排水用の配管でした。
しかし、既製品では同じような形状のものが見つからなかったため、部品を持ち込んでご相談いただきました。

今回は図面から新しく部品を設計・製作したのではなく、お客様から支給された部品を確認し、指定された組み合わせで溶接しています。
持ち込み部品を使う場合は、材質だけでなく、外径、板厚、表面処理、汚れや腐食の状態、完成後に求められる形状を確認する必要があります。見た目が似た部品でも、状態や使用条件によって対応方法や対応可否は変わります。
溶接前に確認した2つの点
接合する部品の径がわずかに違っていた
持ち込まれた部品は、接合部分の径がぴったり同じではなく、わずかに差がありました。

今回のケースのような製品を接合する場合、差の大きさや隙間、板厚、必要な角度によって作業方法が変わります。
「径が違っていても必ず溶接できる」という意味ではありません。隙間が大きい場合や、使用時に圧力・荷重がかかる場合は、別部品の製作や継手方法の見直しが必要になることがあります。
接合部周辺の汚れを除去した
もう一つ確認したのが、長い鉄パイプに付着していた強い汚れです。今回は、溶接する箇所の汚れを取り除いてから作業に入りました。

一般に、溶接箇所にさび、油、水分、塗膜などが残っていると、溶接部の気孔などにつながることがあります(参考:日本溶接協会 溶接情報センター)。そのため、持ち込み品はそのまま溶接を始めるのではなく、まず接合部の状態を確認することが大切です。
仮止め後、TIG溶接で部品を接合
清掃後は、部品を仮止めしました。仮止めは、本溶接の前に部品の位置を保持するための工程です。位置を確認した後、TIG溶接で接合部を溶接しました。
TIG溶接は、タングステン電極と母材の間にアークを発生させ、アルゴンなどの不活性ガスで溶接部を保護しながら母材を溶かして接合する方法です(参考:パナソニック コネクト「溶接の基礎」)。


完成後は水を入れて簡易的な漏れ確認
溶接後は、配管の中に水を入れ、接合部から漏れがないかを簡易的に確認しました。
今回行ったのは、あくまで水を入れた現場での簡易確認です。使用圧力をかけた水圧試験、気密試験、非破壊検査などとは異なります。必要な検査は、流体、温度、圧力、接続方法、適用規格、使用環境によって変わるため、依頼前に条件をお知らせください。
今回の製作でお伝えしたいこと
今回のご依頼は、難しい構造の配管を一から設計した事例ではありません。しかし、持ち込み部品の状態を確認し、溶接前に必要な処理を行い、現物に合わせて一点を組み立てた事例です。
有限会社アラヤでは、単品・試作の溶接加工に対応しています。図面なし・支給材からのオーダーメイド製作も紹介しています。
ご相談時に確認したい情報
- 使いたい部品の全体写真
- 接合したい箇所の拡大写真
- 材質と表面処理の種類
- パイプの外径、内径、板厚
- 必要な角度と完成寸法
- 流すもの、温度、圧力
- 使用場所と接続方法
- 必要な検査、規格、証明書
- 数量と希望納期
材質や寸法が分からない場合でも、まずは分かる範囲の情報と写真をお送りください。ただし、材質不明、腐食が進んでいる、安全上重要な用途、必要性能を確認できない場合などは、対応できないことがあります。
よくある質問
図面がなくても排水用配管の製作を相談できますか?
今回の事例は図面なしで、持ち込まれた部品を指定された形に溶接しました。図面がない場合は、現物、全体写真、接合箇所の写真、必要寸法、用途を確認します。形状や性能条件によっては、追加の図面や寸法指示が必要です。
部品を持ち込んで溶接だけ依頼できますか?
今回のように、持ち込み部品同士の溶接を検討できます。材質、板厚、汚れや腐食、めっき・塗装、接合部の形状、使用条件を確認してから対応可否を判断します。
パイプ同士の径が少し違っても溶接できますか?
径の差、隙間、板厚、必要な角度、使用時の圧力や荷重によって判断が変わります。今回もわずかな径の差がありましたが、すべての組み合わせに対応できるとは限りません。寸法の分かる写真または現物をご用意ください。
汚れやめっきがある鉄部品でも溶接できますか?
状態を確認し、溶接箇所の清掃や表面処理が可能かを判断します。めっき・塗膜の種類が不明な場合や、腐食が進んでいる場合は、そのまま作業できないことがあります。
水漏れがないことを保証できますか?
今回の完成後確認は、水を入れた簡易的な漏れ確認です。耐圧試験や規格に基づく性能保証ではありません。必要な圧力、流体、温度、検査方法を事前に確認し、対応範囲を個別にお伝えします。
既製品にない排水用配管・持ち込み部品の溶接をご相談ください
既製品では必要な形状が見つからない場合や、手元にある部品同士を接合したい場合は、まず写真と分かる範囲の仕様をお送りください。写真と使用条件を確認したうえで、溶接の可否や追加で必要な情報をご案内します。
