フォークリフト用バケットの溶接修理|爪差し込み金具を作り直した事例

フォークリフト用バケットの溶接修理|爪差し込み金具を作り直した事例
今回は、産業廃棄物を扱う会社様からご依頼いただいた、フォークリフト用バケットの修理事例をご紹介します。
フォークリフトの爪を差し込んで使用するバケットで、左右に取り付けられている爪差し込み金具のうち、片側に曲がりと割れが発生していました。
また、反対側の金具にも劣化が見られたため、お客様から「この機会に両方とも新しくしてほしい」とご依頼いただきました。
そこで今回は、古い金具を撤去し、SS400で新しい金具を2個製作して交換しています。
なお、元の金具と同じ寸法で作り直すのではなく、お客様のご希望に合わせて全体的に大きな寸法へ変更しました。
今回のフォークリフト用バケット修理の内容
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 製品 | フォークリフト用バケット |
| 用途 | 廃材の運搬 |
| 数量 | 1台 |
| 修理箇所 | フォークリフト爪差し込み金具 |
| 金具数 | 左右2個 |
| 破損状態 | 片側に曲がり・割れ、反対側にも劣化 |
| 修理方法 | 既存金具を撤去し、新しい金具へ交換 |
| 新規金具材質 | SS400 |
| 金具仕様 | 既存品より大きな寸法で製作 |
| 金具製作 | 複数部品を溶接して製作 |
| 材料切断 | メタルソー |
| 既存金具撤去 | グラインダー |
| 溶接方法 | CO₂半自動溶接 |
| 溶接機 | Panasonic YD-350GR3 |
| ワイヤ | SE-50T φ0.9mm |
| シールドガス | CO₂ |
| 開先加工 | あり |
| 予熱 | 今回事例ではなし |
| 主な確認 | 左右位置・平行・シャフトの通り |
| 強度計算 | 実施なし |
| 実荷重試験 | 実施なし |
| 塗装 | なし |
爪を差し込む金具が曲がり、割れていました
まず、バケットの状態を確認しました。
フォークリフトの爪を差し込む金具は左右2か所あります。
そのうち片側は、長期間の使用による負荷などの影響も考えられる状態で、金具が曲がり、一部に割れも発生していました。
一方、反対側については大きく破損してはいませんでしたが、こちらにも劣化が見られました。
そこで今回は片側だけを直すのではなく、お客様のご希望により左右2個とも新しい金具へ交換することになりました。
破損原因については詳細な検証を行っていないため断定はできませんが、廃材を扱うバケットという使用環境から、長期間にわたり繰り返し負荷がかかっていた製品です。
既存金具を基準に新しい金具を製作
新しい金具を製作するにあたり、まず既存の金具を確認しました。
基本となる形状やフォークが入る部分については既存品を参考にしています。
ただし、お客様から、
「今までより大きな金具にしてほしい」
というご要望がありました。
そのため、既存品をそのままコピーするのではなく、板厚・幅・高さなどを全体的に大きくした形状で製作しています。
新しい金具にはSS400を使用しました。
なお、今回は耐荷重計算や構造計算を行って仕様を決定したものではありません。そのため、「耐荷重が何kg向上した」「再発を防止できる」といった性能表示はしていません。
複数の鉄部品を組み合わせて金具を製作
今回の爪差し込み金具は、一枚の鉄板を曲げただけの形状ではありません。
必要な寸法へ材料を切断し、複数の部品を組み合わせて溶接することで金具を製作しました。
材料の切断にはメタルソーを使用しています。
フォークリフトの爪を差し込む部分なので、左右の金具がそれぞれ違う方向を向いてしまわないよう、製作段階から寸法と位置を確認します。
また、元の金具と一緒に使用されるシャフトもお預かりしていたため、このシャフトを利用して穴の通りや平行も確認しました。
古い金具をグラインダーで撤去
新しい金具が準備できたら、バケットに取り付けられている古い金具を撤去します。
既存金具はグラインダーを使って切り離しました。
その後、元の溶接ビードなどを削り、新しい金具を取り付けられる状態へ整えます。
補修や部品交換では、新しい部品を作るだけではなく、古い部品をきれいに撤去して新しい部品を取り付けられる状態にする工程も必要です。
左右の位置と平行を確認して仮付け
新しい金具をバケットへ取り付ける際、特に注意したのが左右の位置と平行です。
フォークリフトの爪を左右の金具へ差し込んで使用するため、位置がずれていると使用できません。
そこで、まずスケールを使って左右の間隔を確認しました。
さらに、お客様からお預かりしたシャフトを左右の金具へ通し、穴の向きや平行が合っていることを確認しながら位置決めしています。
位置が決まったら仮付けし、もう一度寸法や平行を確認します。
その後、問題がないことを確認して本溶接へ進みました。
CO₂半自動溶接で新しい金具を固定
新しい金具の取り付けには、CO₂半自動溶接を使用しました。
今回使用した設備・溶接材料は以下です。
- 溶接機:Panasonic YD-350GR3
- ワイヤ:SE-50T φ0.9mm
- シールドガス:CO₂
金具の溶接前には必要な部分へ開先加工を行っています。
その後、位置や平行がずれないよう確認しながら、新しい金具をバケットへ溶接しました。
今回はトラックの荷台に載せたまま修理
今回のバケットは大きく重量もあるため、簡単に人力で動かせる製品ではありません。
当社で引き取り、1tトラックの荷台に載せた状態で工場へ持ち帰りました。
ただし、当社にはフォークリフトがないため、工場で荷台から降ろすことができません。
そこで今回は、バケットをトラックへ載せたまま修理しています。

これは今回の製品と作業条件に合わせた対応です。
すべての重量物を同じように修理できるわけではありませんが、製品サイズ・重量・作業内容などを確認し、条件が合えば対応できる場合があります。
修理後はシャフトを通して位置を確認
溶接が完了したら、左右の金具位置を再度確認します。
今回確認した主な項目は、
- 左右の金具位置
- 金具同士の間隔
- 穴の平行
- シャフトが問題なく通るか
- 溶接部の外観
などです。
実際のフォークリフトの爪を差し込んだ確認や、廃材を入れて持ち上げるような実荷重試験は当社では行っていません。
そのため、今回の記事でも耐荷重や強度性能について数値で保証する表現はしていません。
製作・溶接した範囲を確認したうえで、お客様へお返ししました。
建機部品や金具の製作もご相談ください
今回の記事はフォークリフト用バケットの修理事例ですが、有限会社アラヤでは建設機械や産業機械に使用する鉄製部品の製作も行っています。
例えば、
- ブラケット
- 取付金具
- ホッパー
- 架台
- フレーム
- 厚板部品
- 機械周辺の鉄製部品
- 既存品を参考にした金具製作
- 1個だけの製作品
- 数台程度の小ロット品
などです。
建設機械関連では、
建設機械用ホッパーの溶接事例も掲載しています。
また、簡単なスケッチから製作品を形にした事例については、
図面なしでも製作可能|手書きスケッチからオーダーメイド製作をご覧ください。
フォークリフト周辺部品・鉄製金具の製作をご相談ください
「今使っている金具と同じようなものを作りたい」
「既存部品を参考に1個だけ製作してほしい」
「機械に取り付けるブラケットを作ってほしい」
「図面はないが現物はある」
「簡単なスケッチから鉄製部品を作ってほしい」
といった案件もご相談ください。
お問い合わせの際は、
- 製品全体の写真
- 製作・修理したい部分の写真
- 図面やスケッチ
- 材質
- おおよその寸法
- 数量
- 使用用途
- 希望納期
などを分かる範囲でお知らせください。
重量物の修理や出張作業については、製品サイズ・重量・運搬方法・作業内容によって対応可否が変わります。
そのため、当社では重量物の修理を積極的に受け付けているわけではありませんが、条件が合えば対応できる場合があります。
一方で、建設機械・産業機械に使用する金具やブラケットなどの新規製作案件は積極的にご相談いただけます。
「この部品を作り直せますか?」という段階からお問い合わせください。

