SUS630とSUS304のろう付け事例|医療機器部品の微細部を銀ろうで接合

SUS630とSUS304  ろう付け様子

SUS630とSUS304のろう付け|医療機器部品の微細接合事例

今回は、SUS630とSUS304を銀ろうで接合した医療機器部品のろう付け事例をご紹介します。

この製品は定期的にご依頼いただいているもので、数量はその都度異なりますが、数個から20個程度をまとめて施工しています。

SUS630側に設けられた約φ1.5mmの小径穴へSUS304製の細いピンが差し込まれており、その部分を銀ろうで接合します。

部品が非常に小さいため、今回のろう付けで特に注意するのが加熱しすぎないことです。

また、1つの部品に複数のろう付け箇所があるため、一か所だけを見るのではなく、すでに施工した部分への熱影響も考えながら作業を進めています。

今回のSUS630×SUS304ろう付けの仕様

項目内容
製品医療機器部品
材質SUS630・SUS304
接合部SUS630側の約φ1.5mm小径穴とSUS304製ピン
数量数個~20個程度/回
部品客先支給
接合方法ろう付け
ろう材銀ろう φ0.8mm・客先指定品
フラックスハンディーフラックス低温用
加熱酸素・アセチレン
温度判断母材・フラックス・ろう材の状態を見ながら判断
前処理パーツクリーナーによる洗浄
最終確認外観・ろうの回り
強度試験客先で実施
後工程客先で研磨仕上げなど
受注形態定期的なリピート品

SUS630側の小径穴にSUS304製ピンを差し込んだ部品

今回の部品は、SUS630製の母材に設けられた小径穴へ、SUS304製のピンが差し込まれた状態で支給されます。

穴径は約φ1.5mmです。

穴加工や部品同士のクリアランス調整についてはお客様側で行われており、当社では支給された状態からろう付け工程を担当しています。

ろう付け箇所

今回のような微細部品では、通常の製缶品とは作業感覚が大きく異なります。

特にSUS304製のピンが細いため、トーチで熱を加えすぎると母材への影響が大きくなります。

そのため、部品全体の状態を見ながら必要な部分へ熱を入れていきます。
通常の溶接以上に繊細な作業が求められます。

ろう付け前にパーツクリーナーで洗浄

まず、ろう付けを行う前にパーツクリーナーで接合部周辺を洗浄します。

微細な接合部では、油分や汚れが残った状態で施工しないよう前処理を行うことも重要です。

その後、接合部へフラックスを使用してろう付けの準備をします。

今回使用しているのは、ハンディーフラックス低温用です。

部品自体はすでに組み合わされた状態で支給されるため、当社では位置決めや穴加工を行わず、その状態を確認して施工へ進みます。

医療機器用途に合わせた銀ろうを使用

今回使用しているのはφ0.8mmの銀ろうです。

医療機器に使用される部品であるため、使用するろう材についてはお客様から品番の指定を受けています。

当社でも指定されたろう材の仕様を確認したうえで使用しています。

ただし、ろう材の種類は用途や母材、要求仕様によって異なります。

そのため、すべてのSUS630とSUS304の組み合わせで今回と同じ銀ろうを使用するわけではありません。

今回の記事では、お客様から指定された条件に基づいて施工した実例としてご紹介しています。

酸素・アセチレンで微細部を加熱

ろう付けには、酸素・アセチレンによる加熱を使用します。

SUS630とSUS304  ろう付け様子

今回の作業で特に難しいのが、約φ1.5mmという非常に小さな接合部への加熱です。

ピンが細いため、必要以上に熱を与えないよう注意しながら施工します。

温度計で数値を測定しながら作業しているわけではありません。

そのため、

  • フラックスの状態
  • 母材への熱の入り方
  • 銀ろうの溶け方
  • ろうの流れ

などを見ながら、職人が加熱する時間やトーチを動かすタイミングを判断しています。

SUS630とSUS304のろう付け

複数箇所への熱影響を考えながら施工

今回の部品には、近い位置に複数のろう付け箇所があります。

そのため、一か所目をろう付けしたら、まったく同じように次の箇所へ火を当てればいいわけではありません。

すでに加熱された母材には熱が残っています。

そこで、次の箇所を施工するときは、部品全体の温度やすでにろう付けした部分の状態を確認しながら加熱します。

また、ろう材を必要以上に流さないことにも注意しています。

このような小さな部品では、「必要なところに必要なだけ熱とろうを与える」ことが重要です。

微細部品では加熱しすぎないことが重要

今回の施工で特に気を使っているのが、SUS304製ピンへの過度な加熱を避けることです。

部品が大きければ熱が分散しますが、今回のように接合部が小さい場合は短時間でも状態が変化します。

そのため、炎を一か所へ当て続けるのではなく、母材とろう材の状態を見ながら加熱します。

また、一つ前に施工した接合部にも熱が伝わるため、部品全体を見ながら作業する必要があります。

定期的に施工している製品ですが、毎回まったく同じように火を当てればよいというものではありません。

その時の部品の状態を確認しながら、一つずつ施工しています。

ろう付け後は外観とろうの回りを確認

すべてのろう付けが完了したら、洗浄を行ったうえで状態を確認します。

当社で主に確認しているのは、

  • ろうが接合部へ回っているか
  • 外観上問題がないか
  • 明らかな施工不良がないか

といった点です。

一方で、接合部の内部状態については外観だけですべてを判断できるわけではありません。

そのため、今回の製品では強度試験をお客様側で実施されています。

また、その後の研磨仕上げなどについてもお客様側で行われています。

当社では、指定されたろう付け工程を担当し、確認後に納品しています。

定期的にご依頼いただいているろう付け品です

今回の製品は一度だけの試作品ではなく、同じ仕様で定期的にご依頼いただいているリピート品です。

数量は毎回一定ではなく、5個程度のこともあれば10~20個程度になることもあります。

微細な部品へのろう付けでは、一つ施工できれば終わりではなく、複数個を同じ要求条件に沿って施工する必要があります。

そこで、各部品の状態を確認しながら一つずつ作業しています。

SUS630とSUS304のろう付けにも対応しています

有限会社アラヤでは、今回のようなステンレス部品だけでなく、さまざまな金属部品のろう付けをご相談いただけます。

特に、

  • SUS630とSUS304などのステンレス部品
  • 小径ピン
  • ノズル
  • 小さな機械部品
  • 超硬部品
  • 異種金属
  • 数個から数十個程度の小ロット
  • 定期的に発生するろう付け工程

などです。

ろう付けは、溶接を行っている事業者であっても必ず対応している加工ではありません。

当社では銀ろうを使用した部品接合などを継続して行っており、材質・ろう材・接合条件などが指定された案件にも対応しています。

SUS630とSUS304のろう付けについて、材料特性や接合方法を詳しく知りたい方は、

SUS630とSUS304のろう付けは可能?難易度・方法・事例を解説もご覧ください。

また、ろう付けそのものの仕組みについては、

ろう付けとは?溶接との違い・仕組み・メリットをわかりやすく解説で紹介しています。

ろう付け工程の外注先をお探しの企業様へ

「部品は加工済みなので、ろう付け工程だけお願いしたい」

「指定した銀ろう・フラックスで施工してほしい」

「小さい部品を複数個ろう付けしてほしい」

「今お願いしているろう付けの外注先を探している」

といった案件もご相談ください。

お問い合わせの際は、

  • 母材の材質
  • 部品図面
  • 接合箇所
  • 使用するろう材
  • フラックスの指定
  • 数量
  • 必要な検査
  • 継続品か単発品か
  • 希望納期

などを分かる範囲でお知らせください。

特に当社では、今回のように材質・部品形状・ろう材などの仕様がある程度決まっている案件であれば、内容を確認しやすくなります。

図面や写真を確認したうえで、対応可否をご案内します。

「この部品のろう付け工程だけお願いできますか?」というご相談もお気軽にお問い合わせください。

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