アイデア商品の製作|商品開発ならアラヤへ-

現場の困りごとから商品化|安定缶伸縮型の商品開発事例
有限会社アラヤでは、図面どおりに部品を加工・溶接するだけでなく、「こんなものがあったら便利」「現場のこの困りごとを何とかしたい」という段階からの商品開発にも取り組んでいます。
その代表的な製品の一つが、屋根塗装の現場で使用する自社商品「安定缶」です。
通常型の安定缶を発売したのは約20年前。
その後、お客様から、
「もっと急な勾配の屋根ではどうしたらいいの?」
という相談をいただいたことをきっかけに開発したのが、今回ご紹介する安定缶伸縮型です。
通常型の仕組みをそのまま使うのではなく、脚の長さを調整し、急勾配の屋根にも対応できるよう新たにロック機構を設けました。
この記事では、完成した商品の紹介だけではなく、現場の声をどのように製品の構造へ落とし込んだのかという商品開発の視点からご紹介します。
「安定缶」とは?
安定缶は、屋根塗装の際に一斗缶や塗料缶を傾斜した屋根の上へ置くために開発した、当社のオリジナル製品です。
もともとのきっかけも、屋根塗装の職人さんとの会話でした。
「屋根の上に塗料缶を置けたら便利なのに」
そんな現場の声を聞いたことから製品開発が始まりました。
通常型の安定缶は、6寸勾配まで対応しています。
詳しい使用方法や製品ラインナップについては、安定缶の商品紹介ページでご紹介しています。
→ 安定缶|屋根作業で一斗缶・塗料缶を置くためのオリジナル製品
「急勾配ではどうする?」から安定缶伸縮型を開発
通常型を販売していく中で出てきたのが、
「6寸より急な屋根では使えないの?」
という声でした。
そこで考えたのが、脚の長さそのものを変えられる構造です。
通常型は脚の長さが固定されています。
それに対して伸縮型では、屋根の勾配に合わせて脚の長さを調整できるようにしました。
通常型が6寸勾配までなのに対して、伸縮型は8寸勾配まで対応しています。


既存の商品で対応できないからといって、まったく別の商品を一から考えるとは限りません。
今回のように、
「今ある商品のどこを変えれば、現場の困りごとを解決できるか」
という考え方も商品開発では大切です。
安定缶伸縮型の主な仕様
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 製品 | 安定缶伸縮型 |
| 用途 | 屋根塗装時の一斗缶・塗料缶等の設置 |
| 通常型対応勾配 | 6寸まで |
| 伸縮型対応勾配 | 8寸まで |
| 主材質 | 鉄 |
| 伸縮方法 | 脚部の長さを段階的に調整 |
| 固定方法 | ピン・バネ等を組み合わせたロック機構 |
| 溶接方法 | TIG溶接・CO2半自動溶接 |
| TIG溶接機 | DAIHEN インバータアルゴ300P |
| 半自動溶接機 | Panasonic YD-350GR3 |
| 半自動溶接ワイヤ | SE-50T φ0.9mm |
| シールドガス | CO2 |
| 表面処理 | メッキ(外注) |
| 権利 | 実用新案登録済み |
| 販売 | 販売代理店を通じて販売 |
商品開発のポイントは「伸ばすこと」より「固定すること」
伸縮型という名前からすると、単純に脚を伸び縮みさせれば完成するようにも見えます。
しかし、実際には伸ばした脚をどのように固定するかが重要です。
安定缶伸縮型では、ピンやバネなど複数の部品を組み合わせ、脚側に設けた段付きの穴へ機構が入ることで、脚を所定の位置で固定できる構造にしています。


黒いツマミ部分を操作することでロックを解除し、脚の長さを変更します。
希望する位置まで調整したあと、再び機構がかかることで脚が固定されます。
見た目では小さな部品ですが、伸縮させる機能と、使用時に位置を保持する機能の両方を成立させるための重要な部分です。
ロック機構には、丸棒から加工した部品も使用しています。
「脚を伸ばせたら急勾配にも対応できる」
というアイデアを、実際に使える製品にするには、
- どう伸縮させるか
- どう固定するか
- どこまで調整できるようにするか
- 製造可能な構造にできるか
まで考えて形にする必要があります。
ここが、アイデアと製品の違いだと思います。
加工だけでなくTIG溶接と半自動溶接を使い分けて製作
安定缶伸縮型は、鉄の材料を加工して組み立て、各部を溶接して製作しています。
溶接はすべて同じ方法ではなく、製品の箇所に応じてTIG溶接と半自動溶接を使い分けています。
TIG溶接には、
DAIHEN インバータアルゴ300Pを使用。
脚などの取付にはCO2半自動溶接を使用しており、
- 溶接機:Panasonic YD-350GR3
- ワイヤ:SE-50T φ0.9mm
- シールドガス:CO2
という設備・材料で施工しています。



一枚目 TIG溶接
商品開発というと、アイデアや設計だけに目が向きがちですが、最終的には実際に加工・組立・溶接できる形へ落とし込まなければ製品にはなりません。
当社は溶接工場ですので、構造を考えたあと、そのまま自社工場で試作・製作まで進められることが強みの一つです。
溶接後は外注先でメッキ処理
溶接・組立が完了した製品は、外注先でメッキ処理を行います。
当社ですべての工程を内製するのではなく、必要に応じて協力会社へ表面処理などを依頼し、完成品まで仕上げます。
商品によって必要な工程は異なりますが、
材料加工 → 溶接 → 表面処理 → 組立 → 梱包
といった形で、製品として出荷できるところまで対応することも可能です。
安定缶についても、完成後は梱包し、販売へつなげています。
約20年前に生まれ、現在も販売を続けている商品
通常型の安定缶を発売してから、約20年になります。
伸縮型も、その後に開発された商品です。
一度試作品を作って終わったものではなく、現在も製品として販売を続けています。
安定缶シリーズには、
- 安定缶 縦型
- 安定缶 横型
- 安定缶伸縮型(縦・横)
- 折板屋根用
などがあります。
現在、当社から一般のお客様への直接販売は行っておらず、販売代理店を通じて購入いただく商品となっています。
安定缶の商品仕様・使用上の注意などについては、商品紹介ページをご確認ください。
一つの商品から、現場に合わせてシリーズを広げる
今回の伸縮型は、まったくゼロから生まれた商品ではありません。
最初に通常型の安定缶があり、
「もっと急な屋根でも使いたい」
という新しい課題が出てきたことで、伸縮型へ発展しました。
さらに現在は、縦型・横型・伸縮型・折板屋根用など、使用環境に合わせた複数のタイプがあります。
一つの商品を作って終わりではなく、使う人の環境や要望によって改良したり、別仕様を考えたりする。
これも商品開発の一つの形です。
「現場の声をカタチにする」ことから商品開発が始まる
当社では、商品開発をするときに、最初から完成した図面が必要だとは考えていません。
むしろ最初にあるのは、
「これが不便」
「こんなのがあれば便利」
「今使っているものをもう少しこうしたい」
といった現場の声であることが多いです。
安定缶もそうでした。
屋根塗装の現場で一斗缶を置く場所に困っている。
そこから、
「どうすれば置けるのか」
「傾斜した屋根で使うにはどんな構造が必要か」
と考え、一つずつ形にしていきました。
伸縮型も、
「もっと急な勾配ではどうするのか」
という新しい声から生まれています。
困りごとそのものが、商品開発のスタート地点になることがあります。
安定缶以外の商品開発にも取り組んできました
アラヤで開発してきた商品は、安定缶だけではありません。
これまでにも、
など、さまざまな分野の商品づくりに取り組んできました。
用途も業界もバラバラです。
共通しているのは、
「こんなものがあったらいい」から、どうすれば実際に作れるかを考えること。
溶接工場だから溶接品しか考えないのではなく、必要であれば機構を考え、試作し、使いながら改良し、商品として成立する形を探していきます。
アイデア段階から試作・商品化までご相談いただけます
有限会社アラヤでは、自社商品の開発経験を生かし、企業様の商品開発についてもご相談いただけます。
例えば、
- 現場の困りごとを製品にしたい
- 頭の中にアイデアはあるが図面がない
- 手書きのスケッチしかない
- まず1個だけ試作品を作りたい
- 現在使っている製品を改良したい
- 鉄やステンレスを使った製品を商品化したい
- 試作後に小ロットで製作したい
といった段階からでも構いません。
ご相談内容に応じて、
アイデア・構造の検討
↓
図面化
↓
試作
↓
加工・溶接
↓
改良
↓
小ロット製作
↓
塗装・メッキなどの外注手配
↓
最終組立
↓
梱包・発送
まで対応できます。
すべての案件でこの全工程が必要になるわけではありません。
「試作だけお願いしたい」
「構造を一緒に考えてほしい」
「製作だけお願いしたい」
といったご相談でも大丈夫です。
「こんなの作れない?」からご相談ください
商品開発の最初から、完璧な図面や仕様書があるケースばかりではありません。
「現場でこんなことに困っている」
「こういうものがあれば売れると思う」
「今使っている製品をもう少し使いやすくしたい」
そんな話からでも構いません。
有限会社アラヤでは、これまで自社でも商品を考え、試作し、実際の商品として販売するところまで取り組んできました。
その経験と、町工場として培ってきた加工・溶接技術を使って、アイデアを実際に作れる形へ落とし込むお手伝いをします。
お問い合わせの際は、
- 作りたいもののイメージ
- 現在困っていること
- 手書きスケッチや参考写真
- おおよその大きさ
- 使用する場所・用途
- 必要数量
- 希望納期
など、分かる範囲でお送りください。
まだ何も決まっていない場合でも、
「こんなの作れますか?」という段階から、まずはご相談ください。
普通の安定缶とどう違う?

写真で見ると手前側の足の真ん中ぐらいに黒いツマミがついているのが分かると思います。
このツマミを調整して足を伸縮できる形にしています。

通常の安定缶と比べると勾配が全然違うのが分かるかと思います。
足部分の写真です。
ツマミ部分を引っ張り調整できるようになっています。


この商品を使ったお声を聴かせていただいたところ、
- 急こう配の屋根に上っているときに、両手が開くのは安全面でも便利だ!
- 急こう配の屋根で重たい一斗缶を持たなくて済むのは足腰の負担も減ってラクになった。
- 両手が開いて作業効率も上がった。
などの声もいただき、たくさんのご支持をいただいております。
アイデア商品を製作するにあたって
アイデア商品を製作するには、私は「誰かの声」が何より大切だと考えています。
どこかで困っている声、「こんなのがあったらいいのに」という日常のひと言こそが、新しい商品を生み出すヒントになるからです。
そのヒントを見つけるには、人との関わりが欠かせません。そして、それをカタチにする技術も同じくらい重要です。
だからこそ、これからもたくさんの声に耳を傾け、日々の会話や何気ない気づきを大切にしていきたい。
ものづくりは一人で完結するものではなく、人とつながることで深みが増していく。私はそう思っています。
もしあなたの「こんなものあったらいいな」があれば、ぜひ聞かせてください。
お気軽にお問い合わせください。06-6757-7305受付時間 8:30-17:30 [ 土・日・祝日除く ]
お問い合わせ
