図面なしで鉄製タンクを製作|φ300×約400mmのオーダーメイド事例

図面なしで鉄製タンクを製作|簡単なスケッチから形にした事例
今回は、建設機械のレンタル会社様からご依頼いただいた鉄製タンクの製作事例をご紹介します。
お客様からいただいたのは、正式な製作図面ではなく、必要な寸法やブッシングのおおよその位置が書かれた簡単なスケッチでした。
タンクの大きさは、
直径約φ300mm、胴部分の長さ約400mm。
水が入る用途と伺っており、今回は1台だけのオーダーメイド製作です。
当社ではお客様のスケッチと使用条件を確認し、
- 板厚の提案
- 材料手配
- ロール加工・レーザー加工の外注手配
- 組立
- ブッシング用の穴加工
- CO₂半自動溶接
- 仕上げ
まで対応しました。
「作りたいものは決まっているけれど、正式な図面がない」
という場合でも、必要な情報を確認しながら製作できるケースがあります。
今回製作した鉄製タンクの仕様
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 製品 | 鉄製タンク |
| 用途 | 水を入れて使用する設備部品(詳細用途不明) |
| 数量 | 1台 |
| 材質 | SS400 |
| 外径 | 約φ300mm |
| 胴長 | 約400mm |
| 板厚 | t2.3mm |
| 板厚選定 | 当社から提案し、お客様了承のうえ決定 |
| 胴材 | ロール加工品 |
| 上下板 | レーザー加工品 |
| ブッシング | 4個・客先支給 |
| 穴加工 | ホールソー |
| 溶接方法 | CO₂半自動溶接 |
| 溶接機 | Panasonic YD-350GR3 |
| ワイヤ | SE-50T φ0.9mm |
| シールドガス | CO₂ |
| 溶接 | 胴継手・上下板・ブッシング周囲を溶接 |
| 最終確認 | 寸法・外観など |
| 漏れ等の最終確認 | お客様側で実施 |
正式な図面ではなく、寸法入りのスケッチからスタート
今回、お客様からいただいたのはCADで作成された詳細図面ではありません。
全体の形や必要寸法、ブッシングのおおよその位置などが分かる簡単なスケッチでした。
当社でも新たに正式なCAD図面を作ったわけではなく、スケッチを確認しながら製作しています。
製作前には、
- 全体寸法
- 板厚
- ブッシングの位置
- 使用用途
- 漏れに関する条件
などをお客様と確認しました。
正式な図面がなくても、
「どんな形にしたいか」
「どこが重要な寸法なのか」
「何に使うものなのか」
が分かれば、製作方法を検討できる場合があります。
板厚t2.3mmを提案して材料を手配
今回のタンクはSS400で製作しています。
板厚についてはお客様から完全に指定されていたわけではなく、当社からt2.3mmを提案し、了承をいただいたうえで製作しました。
胴部分は平板のままでは使用できないため、協力会社へロール加工を依頼。
上下の円板についてもレーザー加工品を手配しました。

当社ですべての加工設備を保有しているわけではありませんが、必要な加工については協力会社へ依頼し、材料をそろえてから自社で組立・溶接を行います。
ロール材を少しずつ合わせながらタンク形状を作る
材料がそろったら、まず胴部分から形を作っていきます。
ロール加工された材料は、届いた時点で必ずしも**「そのまま置けば完全にぴったり合う」**わけではありません。
実際の材料を確認し、上下の円板との当たりや胴の形状を見ながら、少しずつ位置を合わせて仮付けします。
【写真:ロール材を仮付けしている様子】
今回のタンク製作で特に気を使う部分の一つが、この組立です。
最初の組み方がずれると、最終的な寸法や溶接時の歪みにも影響します。
そのため、いきなり本溶接するのではなく、
合わせる
↓
仮付けする
↓
寸法を確認する
↓
必要なら修正する
という工程を繰り返しながら形を作ります。
支給されたブッシングに合わせて穴加工
今回のタンクには、客先から支給された4個のブッシングを取り付けます。
ブッシングのおおよその位置はスケッチで指定されていました。
まず実際の支給部品を確認し、取り付け位置をケガキます。
その後、ホールソーを使用して穴加工を行いました。

支給部品を組み込む製作では、図面の寸法だけを見るのではなく、実際に取り付ける部品を確認しながら加工できることもメリットです。
CO₂半自動溶接で本溶接
形状と穴位置を確認したら、本溶接へ進みます。
今回使用した設備・溶接材料は、
- 溶接機:Panasonic YD-350GR3
- ワイヤ:SE-50T φ0.9mm
- シールドガス:CO₂
です。
胴部分の継手、上下の板、ブッシング周囲などを半自動溶接で施工しました。
【写真:溶接中】
タンクの場合、見た目だけ溶接できていればいいわけではありません。
今回も水が入る製品と伺っているため、接合部から漏れが発生しないことを意識しながら溶接しています。
t2.3mmだから歪みや穴あきにも注意
今回使用している板厚はt2.3mmです。
厚板と比較すると、溶接熱による変形や母材の溶け落ちにも注意する必要があります。
特に円筒形状の製品では、
- 胴の継手
- 上下板との接合部
- ブッシング周囲
など、複数箇所へ熱が入ります。
そのため、一か所だけに熱が集中しないよう、製品の状態を確認しながら溶接順序を考えて施工しています。
→ 関連記事:溶接歪みが発生する原因とは?種類・対策を解説
ブッシング周囲も全周溶接
ホールソーで加工した穴へブッシングを差し込み、位置を確認してから周囲を溶接します。

今回のブッシングは4個とも同じ仕様です。
水が入る製品なので、ブッシング周囲についても隙間や溶接状態を確認しながら全周を施工しています。
ただし、今回の最終的な漏れ・使用条件に関する確認についてはお客様側で行う取り決めでした。
そのため当社では、
「当社で耐圧性能まで確認した製品」
とは扱っていません。
溶接後はつなぎ目を仕上げ
溶接が完了したら、必要な部分をグラインダーで整えます。
主に胴のつなぎ目など、仕上げが必要な部分を確認しながら施工しました。
その後、ワイヤーブラシなどでスパッタや酸化物、付着物を除去し、外観を整えます。


完成後は寸法・外観を確認
仕上げ後は、
- 全体寸法
- ブッシング位置
- タンク形状
- 溶接部
- 外観
などを確認します。
今回、最終的な漏れ確認については、
「お客様側で確認する」
という取り決めだったため、当社では実施していません。
当社で担当した範囲を確認したうえで、お客様へ納品しました。
図面がなくても鉄製タンクを製作できる場合があります
今回の製品は、
正式な製作図なし
↓
寸法入りの簡単なスケッチ
↓
仕様確認
↓
板厚を提案
↓
材料手配
↓
組立・穴加工
↓
溶接
↓
仕上げ
という流れで製作しました。
「図面がない=製作できない」とは限りません。
特に、
欲しい形は決まっている
サイズもだいたい分かる
市販品ではちょうどいいものがない
という場合は、一度ご相談ください。
圧力・強度・法規など特別な設計条件がある製品については、使用条件や必要な仕様を確認したうえで対応可否を判断します。
タンク以外の製缶品にも対応しています
有限会社アラヤは、今回のような小型鉄製タンクのほか、
- ホッパー
- シュート
- 架台
- 箱物
- 配管・ブッシング付き製缶品
- 機械フレーム
- 図面なしの一点物
- 数台程度の小ロット品
などご相談いただけます。
「こんなタンクを作れますか?」からご相談ください
「必要なサイズのタンクが市販されていない」
「簡単なスケッチしかない」
「支給するブッシングを取り付けてほしい」
「1台だけ製作したい」
「材料手配から溶接までまとめてお願いしたい」
といった段階でも構いません。
お問い合わせの際は、
- 図面または簡単なスケッチ
- 材質
- おおよその寸法
- 板厚
- 中に入れるもの
- 圧力の有無・最高使用圧力
- 取り付ける部品
- 数量
- 使用環境
- 必要な検査
- 希望納期
などを分かる範囲でお知らせください。
特に圧力がかかる製品については、最高使用圧力や用途、適用される規格・法令などの確認が必要になる場合があります。 法令上の圧力容器に該当する場合には構造・材料・板厚・検査等について規定があります。
「図面はないけれど、こんなものを作りたい」という段階からでも一度ご相談ください。

