建設機械用ホッパー口金の製作|ガス溶断・半自動溶接

建設機械用ホッパー口金の製作|ガス溶断から半自動溶接まで

今回は、建設機械に使用されるホッパーの口金部品の製作をご紹介します。

このホッパーにはコンクリートが流れるため、単に部品同士がつながっていればよいというものではありません。

溶接部の溶け込みや脚長、外観だけでなく、完成後に漏れがないことも確認しながら製作しています。

今回の部品は、配管と溶接用レジューサを組み合わせた約L300mmの部品で、通常は10台程度のロットで製作しています。

有限会社アラヤでは、今回のような部品について、材料の切断から開先加工、溶接、仕上げまで社内で対応しています。

今回製作したホッパー口金部品の仕様

項目内容
用途建設機械用ホッパー・コンクリートが流れる
配管50A
外径φ60.5mm
肉厚t5.5mm
スケジュールSch80
レジューサ50A → 65A
全長約L300mm
数量基本10台ロット
切断アセチレンによる手動ガス溶断
切断後スラグ除去 → グラインダー → 開先加工
溶接CO₂半自動溶接
溶接機Panasonic YD-350GR3
ワイヤSE-50T φ0.9mm
確認寸法・外観・漏れ
漏れ確認ホッパー完成後に水を張って確認

まずガス溶断とはどのような技術なのか?

今回の配管加工では、酸素とアセチレンを使用した手作業のガス切断を行っています。

ガス切断は、単純に炎の熱だけで鋼材を溶かして切る方法ではありません。

予熱炎で鋼材を発火温度まで加熱したあと、切断酸素を吹き付け、鉄と酸素の酸化反応によって生じる熱を利用しながら、酸化物や溶融金属を酸素流で排出して切断していきます。日本溶接協会でも、ガス切断は酸素と金属の酸化反応を利用する切断方法として説明されています。

なぜ今回の部品をガス溶断するのか

今回の部品では、当社が保有しているガス切断設備を使って社内加工しています。

レーザー切断や機械加工など、鋼材を切断する方法はいくつもありますが、すべての部品を同じ方法で加工する必要はありません。

今回のような部品では、

ガス溶断 → 切断面の処理 → 開先加工 → 溶接

までを社内で行うことで、一連の工程として製作しています。

特に10台程度のロット品では、設備だけではなく、形状・数量・その後の溶接工程まで含めて加工方法を考えることが大切だと考えています。

今回一番難しいのは「パイプのガス溶断」

今回の製作工程の中でも、個人的に難しいと感じるのがパイプのガス溶断です。

平板と違い、パイプは切断位置に合わせて母材の向きが連続的に変化します。

そのため、手作業では切断しながらトーチを動かし、

  • 切断する速度
  • 火口と母材との距離
  • トーチの角度
  • 予熱状態
  • 酸素の当て方

などを見ながら調整する必要があります。

特に曲線部分では、少しの操作の違いが切断面に現れます。

同じ設備でも切断面に差が出る

この2枚は、同じように手作業でガス溶断したものです。

しかし、切断面を見ると違いがあります。

直線部分は比較的合わせやすくても、曲線になると切断面が荒れやすくなります。

なぜこの差が出るのかを一つの原因だけで説明することはできません。

切断速度、火口と母材との距離、トーチ角度、炎の状態など、複数の要素が関係していると考えています。

そして実際に作業して感じるのは、手作業によるガス溶断には経験の差が出やすいということです。

簡単そうに見える作業ほど、安定して同じ品質で加工するためには経験が必要になります。

こうした技術についても、当社では次の世代へ少しずつ引き継いでいます。

ガス溶断したままでは溶接しない

ガス溶断が終われば、すぐに溶接できるわけではありません。

今回の部品では、溶断後に次の工程を行います。

1.スラグを除去する

ガス溶断によって切断部に付着したスラグを取り除きます。

2.グラインダーで切断面を整える

切断面の凹凸などをグラインダーで整え、次工程へ進められる状態にします。

3.開先加工を行う

必要な溶け込みを得られるよう、溶接部の形状に合わせて開先を加工します。

4.仮付け・組立

配管と溶接用レジューサなどを組み合わせ、寸法や位置を確認してから溶接へ進みます。

こうした溶接する前の準備も、最終的な仕上がりに関わる重要な工程です。

Panasonic YD-350GR3を使用してCO2半自動溶接

加工後は半自動溶接を行います。

今回使用している設備・溶接材料は次の通りです。

溶接機

Panasonic YD-350GR3

PanasonicのGR3シリーズはCO2/MAGに対応する半自動溶接機です。

溶接ワイヤ

SE-50T φ0.9mm

SE-50Tは神戸製鋼のソリッドワイヤで、CO2溶接にも使用されるワイヤです。

シールドガス

CO2

今回の製品では、この組み合わせで半自動溶接を行っています。

※半自動溶接とは?2.3~16mm板厚での特徴と使い分け


溶接で特に確認している4つのポイント

今回のホッパー口金では、特に次の4点を意識して溶接しています。

1.溶け込み

外からビードがきれいに見えていても、必要な部分まで十分に溶け込んでいなければ、求められる溶接部にはなりません。

そのため、継手形状や肉厚を見ながら施工します。

2.脚長

すみ肉溶接となる部分については、必要な脚長を意識します。

ただ大きなビードを盛ればよいのではなく、製品の形状や図面、求められる仕様に合わせて施工することが重要です。

3.外観

溶接ビードの状態、※アンダーカットなどの外観上の異常がないか確認します。

外観は見た目だけの問題ではなく、溶接状態を判断するための確認項目の一つです。

※溶接欠陥の種類、アンダーカットとは

4.漏れ

今回の製品にはコンクリートが流れるため、漏れについても確認しています。

口金部品をホッパーへ組み込み、ホッパーとして完成した段階で内部に水を張り、溶接部から漏れがないか確認します。

外観だけで判断するのではなく、実際の製品として完成した状態でも確認しています。

※ステンレスホッパーの溶接修理事例

「何が流れるのか」まで確認して溶接する

当社では、図面に書かれた形状だけを見るのではなく、可能な範囲でその製品がどのように使われるのかも確認するようにしています。

同じように見える配管や製缶品でも、

  • 何が流れるのか
  • 圧力がかかるのか
  • 摩耗するのか
  • 漏れが許されないのか
  • 外観が重視されるのか
  • 強度が必要なのか

によって、注意すべきポイントは変わります。

今回の部品ではコンクリートが流れるため、溶接状態だけでなく漏れについても確認しています。

用途を理解したうえで製作することも、ものづくりでは大切だと考えています。

完成後は寸法・外観・漏れを確認

溶接後は、

  • 寸法確認
  • 溶接部の外観確認
  • 漏れの確認

を行います。

建設機械用ホッパー口金の完成品

今回の部品はこれだけで完成品になるわけではなく、建設機械用ホッパーを構成する部品の一つです。

当社ではこのような部品を基本10台程度のロットで製作しています。


ガス溶断から溶接まで一式で対応できます

有限会社アラヤでは、今回のような建設機械用部品をはじめ、

  • ホッパー部品
  • ホース接続部・継手
  • 配管を使用した溶接部品
  • 架台
  • フレーム
  • ブラケット
  • 厚板を使用する製缶品
  • 単品・小ロット部品

などの製作についてご相談いただけます。

特に、

「材料を切断して、溶接までまとめてお願いしたい」

「10個程度のロットなので対応してくれる会社を探している」

「図面はあるが、どの加工方法が適しているか分からない」

「溶接工程だけ外注したい」

といったご相談も歓迎しています。

ガスを使えばいろいろなことができます

左の写真は手作業でガス溶断している様子です。
熟練した作業者が切断すると、かなり細かな形状でも安定して切断しています。

私自身も同じ作業をしていますが、同じような切断面を安定して出すのはまだ簡単ではありません。

切断速度、火口と母材との距離、トーチ角度など、一つひとつの操作の積み重ねによって仕上がりに差が出ます。

現場で感じる「簡単そうに見える作業」の難しさ

他の写真は丸棒を曲げている作業です。

見ているだけだと、単純に曲げているだけのようにも見えます。しかし、実際には曲げる位置、力の掛け方、材料の戻りなどを見ながら加工しています。

ガス溶断も丸棒曲げも、熟練した人が作業すると簡単そうに見えます。

私も入社した当初は「これならできそう」と思う作業がたくさんありましたが、実際にやってみると、一つひとつの動作に理由があり、そこに経験が積み重なっていることが分かりました。

設備があれば同じものが作れるわけではなく、設備をどう使うかという技術も、ものづくりの品質を左右する要素の一つだと感じています。

建設機械部品・製缶品の製作をご相談ください

製品開発や生産の中で、

「この部品だけ製作してくれる会社が見つからない」

「ガス切断から溶接まで一式で依頼したい」

「少量なので対応してもらえるか分からない」

といったことでお困りでしたら、一度ご相談ください。

有限会社アラヤでは、図面を確認し、材質・板厚・数量・用途などを伺ったうえで、加工方法を検討します。

お問い合わせの際は、

  • 図面
  • 材質
  • 板厚
  • 寸法
  • 数量
  • 使用用途
  • 希望納期

などが分かると、より具体的に検討できます。

図面がない場合でも、現物写真や簡単なスケッチから検討できる場合があります。

「これ、作れますか?」という段階からでも、お気軽にお問い合わせください。

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