溶接後に機械加工するのはなぜ?|穴位置・取付面・基準面の精度を考えた加工順序
機械部品や装置部品の図面を見ていると、「溶接後機械加工」といった指示が入っていることがあります。
なぜ、先にすべて機械加工してから溶接するのではなく、溶接した後にもう一度機械加工するのでしょうか。
大きな理由のひとつが、溶接時の熱による変形と、完成した溶接構造物を基準に穴位置や取付面などを仕上げる必要があるためです。
この記事では、大阪市生野区で製缶・溶接を行う有限会社アラヤが、溶接後に機械加工を行う理由と、先加工・後加工を考える際のポイントについて解説します。
溶接後に機械加工する主な理由
- 溶接熱によって部材に歪みが生じる場合がある
- 完成した溶接構造物を基準に穴位置を仕上げたい
- 取付面・基準面などに公差が指定されている
- 溶接後の状態から平面や穴を仕上げる必要がある
ただし、すべての溶接品で後加工が必要になるわけではありません。図面、公差、部品形状、溶接方法、使用用途などによって加工順序は変わります。
溶接すると部品に歪みが生じることがある
溶接では、接合部を局所的に加熱します。
加熱された部分は冷える際に収縮するため、部品の形状や板厚、溶接量などによっては、溶接前と溶接後で寸法や形状が変化する場合があります。
特に、複数の厚板を組み合わせたブラケットや溶接構造部品では、溶接箇所が増えることで全体に歪みが発生することがあります。
そのため、穴位置や取付面などに精度が求められる製品では、溶接前に最終寸法まで加工するのではなく、溶接後の状態を基準に必要な部分を機械加工する方法が採用されることがあります。
溶接後に機械加工することがある主な箇所
溶接構造部品の中でも、次のような部分は溶接後加工が指定されることがあります。
取付面
モーター、ベアリングユニット、装置、機械部品などを取り付ける面です。
相手部品との位置関係や接触状態が重要になる場合は、溶接後の製品を基準に面加工することがあります。
基準面
他の寸法や加工位置を決める基準となる面です。
完成した溶接構造物の状態から基準面を加工し、その面を基準に他の穴や面を加工する場合があります。
取付穴・位置決め穴
穴径だけでなく、穴同士の位置関係や基準面からの位置に公差が指定されている部品もあります。
その場合、溶接後の製品を機械にセットして穴加工することで、完成状態を基準に穴位置を仕上げる方法があります。
平面・平行・直角が必要な部分
取付面同士の平行や、基準面に対する直角などが図面で指定されている場合もあります。
必要な公差や加工条件によって、どの段階で機械加工を行うかを確認する必要があります。
先に機械加工する場合と、溶接後に機械加工する場合
製缶・溶接と機械加工の順序は、製品によって異なります。
| 加工パターン | 主な考え方 |
|---|---|
| 機械加工 → 溶接 | 部材単体で加工した方が加工しやすい穴や形状などを先に加工する |
| 溶接 → 機械加工 | 溶接後の状態を基準に、取付面・基準面・穴などを仕上げる |
| 先加工 → 溶接 → 後加工 | 部材段階で必要な加工を行い、溶接後に精度が必要な部分だけ仕上げ加工する |
例えば、部材単体で加工しなければ工具が入らない部分は先に加工し、完成後の位置関係が重要な穴や取付面は溶接後に加工するといった工程になる場合があります。
どの順序が適切かは、図面、公差、部品形状、加工設備、溶接箇所などによって変わります。
「溶接後に自社で機械加工したい」というご依頼にも対応しています
機械加工会社様では、マシニング加工やフライス加工などは自社で対応できても、案件によっては製缶・溶接工程だけ別の会社へ依頼する必要があることがあります。
例えば、次のようなケースです。
- 今回の図面だけ溶接構造部品が含まれている
- 厚板プレートを組み合わせて溶接する必要がある
- 溶接後の穴加工・面加工は自社で行いたい
- 1個だけの部品なので製缶・溶接先を探している
- 数個程度の小ロット部品を製作したい
有限会社アラヤでは、図面や仕様を確認し、材料準備、切断、組立、仮付け、溶接、仕上げなど、製缶・溶接工程をご相談いただけます。
製缶・溶接まで行った製品を機械加工会社様へ納品し、その後の機械加工をお客様側で行っていただく形にも対応しています。
先加工した部品を支給して溶接する方法もあります
反対に、機械加工会社様で先に必要な加工を行い、加工済みの部品を支給いただいて、アラヤで組立・溶接を行う方法もあります。
この場合は、加工済み箇所、溶接箇所、基準面、公差、溶接後の後加工予定などを図面で確認します。
支給材や加工済み部品への溶接についても、材質・板厚・形状・溶接内容を確認して対応可能な内容をご案内します。
単品・1個だけの溶接構造部品でも相談できます
機械加工会社様からすると、通常は切削加工だけで完結する中で、「今回の案件にだけ溶接構造部品が1点含まれている」ということもあると思います。
アラヤでは、1個の試作・単品から、数個程度の小ロット、同仕様品の追加製作・リピート製作までご相談いただけます。
数量だけで製作可否を決めるのではなく、材質、板厚、寸法、形状、溶接内容などを確認して対応可能な内容をご案内します。
製缶・溶接を依頼するときに伝えたい情報
機械加工を伴う溶接構造部品では、見積り時に次の情報があると製作内容を確認しやすくなります。
- 図面・仕様書
- 材質
- 板厚
- 外形寸法
- 数量
- 溶接指示
- 先加工の有無
- 溶接後に加工する箇所
- 基準面
- 穴位置・穴径
- 図面公差
- 検査条件
- 支給材・加工済み部品の有無
- 希望納期
すべての条件が最初から揃っていなくても、分かる範囲の図面・資料を確認し、不足する内容を追加で確認することができます。
製缶・溶接と機械加工を別々の会社で行う場合に確認したいこと
製缶・溶接と機械加工を別々の会社で行う場合は、それぞれの担当範囲を明確にしておくことが重要です。
- 材料はどちらが手配するか
- 先加工はどこまで行うか
- 溶接後にどこを加工するか
- 加工基準はどの面か
- 誰が最終検査を行うか
- 製品をどの状態で受け渡すか
工程の境界を明確にしておくことで、製缶・溶接側と機械加工側で必要な情報を共有しやすくなります。
大阪で製缶・溶接工程の外注先をお探しの機械加工会社様へ
有限会社アラヤは、大阪市生野区で鉄・ステンレス・アルミなどの製缶・溶接を行っています。
「溶接後の機械加工は自社でできるので、製缶・溶接までお願いしたい」「今回の図面に1点だけ溶接構造部品がある」といった機械加工会社様からのご相談もお受けしています。
大型製品・重量物には対応しておらず、目安として工場内で3人程度で安全に搬入・取り回しができるサイズ・重量の製品を中心に対応しています。
図面、材質、板厚、数量、溶接箇所、機械加工予定箇所などを確認し、対応可能な内容をご案内します。
単品・小ロットの製缶・溶接をご相談ください
機械加工会社様からの、1個の溶接構造部品、試作品、数個程度の小ロットなども、図面・材質・板厚・数量を確認してご相談いただけます。
まとめ
溶接構造部品では、溶接時の熱によって歪みが生じる場合があるため、取付面、基準面、穴位置などに公差が必要な製品では、溶接後に機械加工を行うことがあります。
一方で、部品単体で加工した方がよい箇所は先加工するなど、製品によって適切な加工順序は異なります。
製缶・溶接と機械加工を別々の会社で行う場合は、図面、公差、基準面、先加工・後加工の範囲をあらかじめ整理しておくことが重要です。

