溶接構造部品の加工順序|先に機械加工する場合と溶接後に加工する場合

溶接と機械加工の両方が必要な機械部品では、「先に機械加工してから溶接するのか」「溶接してから機械加工するのか」が気になることがあります。

実際には、どちらか一方に決まっているわけではありません。

部品単体のうちに加工しておいた方がよい箇所は先に機械加工し、溶接後の位置関係や精度が重要な箇所は、組立・溶接後に仕上げ加工することがあります。

そのため、溶接構造部品では「先加工 → 溶接 → 後加工」という工程になることもあります。

この記事では、大阪市生野区で製缶・溶接を行う有限会社アラヤが、溶接と機械加工の順序を考えるときの基本的なポイントをご紹介します。

溶接と機械加工の主な3つの順序

  • 機械加工 → 溶接
  • 溶接 → 機械加工
  • 先加工 → 溶接 → 仕上げ加工

どの順序になるかは、部品形状、溶接箇所、必要な公差、基準面、穴位置、加工設備などによって変わります。

先に機械加工してから溶接する場合

まず部品単体の状態で必要な機械加工を行い、その後に複数の部品を組み立てて溶接する方法です。

完成した溶接構造物では工具が入りにくくなる箇所や、部品単体の方が加工しやすい形状などは、溶接前に加工しておくことがあります。

先加工が使われることがある例

  • 溶接後では工具が入りにくくなる穴や溝
  • 部品単体の状態で加工した方が固定しやすい箇所
  • 組立時に必要になる穴や形状
  • 溶接前に加工しておくことが図面・仕様で指定されている箇所

ただし、溶接後の位置精度が重要な穴や取付面まで先に最終加工すると、溶接による変形の影響を受ける場合があります。

そのため、「加工できるから先に全部仕上げる」のではなく、どの部分を先に加工するのかを図面や仕様から確認することが重要です。

溶接してから機械加工する場合

材料を組み立てて溶接し、溶接構造物として形になった後に機械加工する方法です。

溶接では局所的に熱が加わるため、冷却・収縮によって部品に反りや変形が生じる場合があります。

そのため、完成した状態での位置関係が重要な部分については、溶接後の製品を基準に機械加工することがあります。

溶接後加工が使われることがある例

  • 機械や装置を取り付ける面
  • 加工の基準となる面
  • 位置精度が必要な取付穴
  • 複数の穴の位置関係が重要な部分
  • 平面・平行・直角などが指定されている部分

例えば、ベースプレートと立板を溶接したブラケットで、ベース面を基準に穴位置や取付面の精度が必要な場合、溶接後の状態から仕上げ加工を行うことがあります。

溶接による変形については、別記事の溶接歪みの原因と対策でも詳しく解説しています。

「先加工 → 溶接 → 後加工」になる場合もある

実際の溶接構造部品では、先加工か後加工のどちらか一方だけではなく、両方を組み合わせることがあります。

例えば、部品単体でしか加工できない部分を先に加工しておき、組立・溶接後に取付面や穴位置など、完成状態で精度が必要な箇所を仕上げる方法です。

加工工程の一例

部材の先加工
↓
組立・仮付け
↓
溶接
↓
溶接後の状態を基準に面加工・穴加工
↓
検査・仕上げ

すべての製品がこの工程になるわけではありません。最終的に必要な形状・公差と、各工程で加工できる範囲を確認して加工順序を整理します。

加工順序を考えるときに確認したい5つのポイント

1.溶接後に必要な精度

まず確認したいのが、完成した状態でどの寸法や位置に公差が必要なのかです。

特に取付面、穴位置、基準面などに指定がある場合は、溶接前後のどちらで加工するかに関係します。

2.基準面・基準穴

機械加工では、どこを基準に加工するかも重要です。

完成した溶接構造物を基準に加工する必要がある場合は、組立・溶接後に基準を取り、その状態から加工することがあります。

3.溶接による変形

板厚、部品形状、溶接長、溶接箇所などによって、溶接後の変形の出方は異なります。

そのため、溶接後の変形による影響を受ける箇所については、後加工を行う工程が設定されることがあります。

4.溶接後でも加工できる形状か

完成した形状によっては、機械に載せにくくなったり、工具が加工箇所まで届きにくくなったりする場合があります。

そのため、必要な精度だけではなく、機械加工設備に載せられるサイズ・形状かどうかも工程を考える要素になります。

5.どの会社がどの工程を担当するか

製缶・溶接会社と機械加工会社が別の場合は、担当工程を事前に整理しておくことも重要です。

例えば「材料手配・組立・溶接までは製缶会社」「溶接後の面加工・穴加工は機械加工会社」というように、どの状態で受け渡すのかを明確にしておくと進めやすくなります。

厚板ブラケットや溶接構造部品でも後加工が必要になることがある

厚板プレート、フラットバー、アングルなどを組み合わせたブラケットや機械部品では、製缶・溶接後に取付面や穴を機械加工する構成になることがあります。

アラヤでは、鉄を中心とした厚板ブラケットや溶接構造部品の単品・小ロット製作についてもご相談いただけます。

製缶・溶接にはCO₂半自動溶接を使用することもあります

鉄製のブラケットや溶接構造部品では、形状・板厚・溶接内容などに応じてCO₂半自動溶接を使用します。

板厚だけで加工内容が決まるわけではなく、製品全体の寸法、形状、溶接箇所、必要な仕上がりなどを図面から確認します。

機械加工会社で後加工するなら、製缶・溶接工程だけ外注する方法もあります

機械加工会社様の場合、マシニング加工やフライス加工などの後加工は自社設備で対応できても、案件によって製缶・溶接工程だけ外部へ依頼する必要があることがあります。

例えば、次のようなケースです。

  • 今回受注した図面に1点だけ溶接構造部品が含まれている
  • 厚板プレートやリブを組み合わせたブラケットを1個だけ製作したい
  • 製缶・溶接後の面加工や穴加工は自社で行いたい
  • 試作品や数個程度の小ロットだけ溶接工程を依頼したい
  • 機械加工前の溶接構造品まで製作してほしい

有限会社アラヤでは、機械加工会社様からの単品・小ロットの製缶・溶接工程についてもご相談いただけます。

機械加工会社様からの製缶・溶接外注について

「溶接後の機械加工は自社で行うので、材料手配・組立・溶接まで依頼したい」「今回の部品だけ溶接工程が必要」といったご依頼について、専用ページで詳しくご紹介しています。

先加工した部品を支給して溶接する場合

加工順序によっては、機械加工会社様で必要な先加工を行った部品を支給いただき、アラヤで組立・溶接を行った後、再び機械加工会社様へ返却する流れもあります。

この場合は、先加工済みの箇所、溶接箇所、溶接後に加工する箇所、基準面、公差などを図面・仕様で確認します。

支給材や加工済み部品への溶接についても、材質・板厚・形状・溶接内容を確認して対応可能な内容をご案内します。

加工順序を相談するときに用意したい情報

製缶・溶接と機械加工の両方が含まれる部品では、次のような情報があると製作内容を確認しやすくなります。

  • 製作図面
  • 材質・板厚
  • 数量
  • 溶接箇所・溶接指示
  • 先加工する箇所
  • 溶接後に加工する箇所
  • 基準面・基準穴
  • 必要な寸法公差
  • 検査条件
  • 支給部品の有無
  • 製缶・溶接後の受け渡し状態

加工順序は、単に「溶接が先」「機械加工が先」と決めるのではなく、最終的に必要な形状・精度と、それぞれの工程で加工できる範囲を確認して整理することが大切です。

製缶・溶接を依頼する前に設備も確認できます

アラヤで使用しているCO₂半自動溶接機、TIG溶接機、定盤、ボール盤、アトラなどについては、工場・設備紹介ページでご紹介しています。

大阪で機械加工前の製缶・溶接を外注したい会社様へ

有限会社アラヤでは、鉄・ステンレス・アルミなどの製缶・溶接に対応しています。

特に機械加工会社様からの、「製缶・溶接までお願いしたい」「溶接後の機械加工は自社で行いたい」といった単品・小ロット案件もご相談いただけます。

図面、材質、板厚、寸法、数量、先加工・後加工の範囲などを確認し、対応可能な内容をご案内します。

大型製品・重量物には対応しておらず、目安として工場内で3人程度で安全に搬入・取り回しができるサイズ・重量の製品を中心に対応しています。

単品・小ロットの製缶・溶接をご相談ください

「今回の部品だけ溶接が必要」「溶接後の機械加工は自社で行う」といった機械加工会社様からのご相談も、図面・材質・板厚・数量などを確認して対応可能な内容をご案内します。

まとめ

溶接構造部品では、機械加工を先に行う場合、溶接後に行う場合、そして先加工と後加工を組み合わせる場合があります。

部品単体で加工した方がよい箇所は先に加工し、溶接後の位置関係や精度が重要な取付面・基準面・穴などは、溶接後に加工することがあります。

重要なのは、図面、公差、基準面、溶接箇所、加工設備などを確認し、製品ごとに加工順序と担当範囲を整理することです。